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№1084 企業人の人間像

№1084 企業人の人間像
 経営学の教科書を徐々に読んでいき、ようやく終わりの方までやってきた。このブログを始めた頃は学生の教科書など見向きもしなかったのであるが最近は違う。

 このブログでは企業法務の視点から改めて判例を検討した。ドラッカーも読んだ。多くの経営者の声も載せるようにした。こうして改めて経営学の教科書を読んでみるとかなり大切なことが書いている。

 企業を構成する人たちが質の高い人間に成長していくことが企業の繁栄を決める。繁栄の路線を決めるだろうし、シャープのように重大な危機にあっても、それを切り抜けるかどうかも構成する人間たちがどれほどの質を持っているかによって決せられる。

 企業を長く持続させようというのであれば「人」が発展する企業マネジメントを持つ必要がある。それは、企業が社員に対してどのような人生を用意できるか問われなければならないし、社員は企業にかかわって人生を発展させようと意欲できるかが問われなければならない。

 企業である以上、常に競争にさらされる。「新しいことを目指す」、「危機を乗り切る」という状況に対する主体的選択が多かれ少なかれ求められることになる。それは状況に対する認識の深さだったり、あきらめない持続力だったり、新しいものに対する好奇心だったりする。

 さて、本題のキャリアデザインのことになるが、経営学の教科書では2つの視点から問題提起されている。一つは個人として自己のキャリアをどう選択していくかという個人の視点である。もう、一つは企業としてどのような組織、社員の成長戦略を持つかとう点である。

 ここで、企業にとって重要なのは、特定の役職、組織的権限、指揮命令関係など組織にかかわるデザインと、それを構成する人の成長、発展問題と結びつけなければならないという点にある。

 教科書では「キャリア・コーン」 、「キャリア・アンカー」といった考え方が紹介されている。いずれも簡単に紹介されているだけだが、とても大切な考えのように思う。

 キャリア・コーンは「中心性」という座標軸が提案されている。組織は現場の多数の人数から徐々に幹部に行くに従って少人数となっていく。組織的なヒエラルキーが三角状になっているのだが、もう一つの座標軸「中心性」というのが必要だと言うのだ。

 どの段階であっても組織の周辺部にあって意欲を示さない者もいる。一方、中心部にあって人に対する求心力を持ち、意欲的に活動することができるかという組織の「中心」に対する強い志向、帰属意識を持つ者もいる。この組織の「中心」、アイデンティティと構成員の同期化が組織作りのもう一つのポイントだということになるのだろう。

 当事務所では、顧問先企業とともに現在、幹部養成をどのようにデザインするかを検討している。会社の組織図を作ることはけっして難しいことではない。しかし、その組織によって与えられた権限を行使できるだけの人間的質の高さを鍛え上げているか、鍛え上げることができるかが幹部養成の重要なポイントであると考えている。