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№1051 裁判上の和解

№1051 裁判上の和解
 裁判を提起しても,私たちはよく和解をする。特に企業系の事件では和解は悪くない。 表題の「裁判上の和解」というのは法律用語,裁判手続き中に裁判官の前で和解することを言う。裁判上の和解により裁判は終了する。和解条項は判決と同じ効力を持つとされている。

 和解と言ってもいろいろある。
 まず,判決では負けそうな場合で和解することがある。このまま,負け判決が出ればもともこも失う。だったら,多少でも解決金をとった方が得だという場合だ。

 負けそうな気配から,依頼者の利益を最大限獲得するために和解を進める。そんな時は,原則として負ける顔をしてはならない。自分は絶対勝つけど和解してやるという姿勢が大切だ。つまり,決裂しても構わない,判決を出してもらうだけだと強気の姿勢を崩さない。

 損して得取れというのような和解もある。
 つまり,判決では明らかに勝つのであるが,相手に金銭がないような場合には和解をせざる得ない。相手に自主的に支払わせたりすることで,何もとれない状態を回避するというような場合だ。この場合も,決して弱気の姿勢を見せてはならない。

 和解の場合,ポーカーとよく似ていて,けっして自分の旗色を顔に出さない。旗色を顔に出すような不利をすることはある。しかし,概して,北朝鮮のような瀬戸際外交的姿勢は有益なことが多い。

 もう一つ,ある意味,弁護士としての資質や能力が試されるタイプの和解がある。これは,判決以上の成果をあげるタイプの和解だ。たとえば,和解によって新しい事業提携ができたり,事業の仕組みができるような効果はけっして判決では期待できない。