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№995 花

№995 花
 我が家ではモッコウバラが満開になっている。育てて4年、バラのつるは2階のバルコニーまで通じていて、バルコニーは黄色のかわいい花でいっぱいだ。バルコニーの柱やラティスにはツルが幾重にお絡んでいる上に、葉が密度高く茂っているため、葉と花の奥に細長いツルが迷路にように隠れている。

 だから、バラのつるは小さな生き物たちの秘密の小道のようになっている。
 確かに家にも精霊がいて、このつるを利用して行き来しているように思う。アリエッティのようなこびとが我が家にもいるかもしれない。

 都会にもたくさんの花が咲き、近所の庭にもたくさんの花が咲き始めている。都市には都市の春がある。近所の月極駐車場のアスファルトの割れ目からオレンジ色のヒナゲシ、紫のスミレ、薄い青色のネジバナといったかわいい植物の花が咲く。これにタンポポも加わるのでとてもきれいだ。

 花は虫を引き寄せるために咲く。虫にとって好ましい姿に進化した。虫にとって好ましい姿が、人間にとっても美しく映ることに私は奇跡を感じる。生きるということについて全ての生物に共通の価値観というのがあるのかもしれない。

秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。」とは世阿弥の芸術観を凝縮した言葉だ。本当の美は美しい形にはない。形の奥にあるなにものかとの直接的なつながりにある。それは決してとらえることができないものだ。その美の本質を観阿弥は「花」と表現した。これは生命あるものが等しく感じる神の領域のことがらかもしれない。