№778 M&Aと社員
M&Aの手段は株式譲渡、事業譲渡、吸収合併、会社分割などの手法が利用される。規模は様々だろうが、いわゆる所有と経営が分かれていて、社長が替わっても会社が存続することが大前提だろう。大企業や中規模企業の場合はこうしたことは成り立つが、規模が小さくなると難しい問題が生じることになる。
事業部門を切り離して譲渡したことのある社長にどんなだったか聞いたが、社員に対する責任が重荷だったという。それまで、一丸となってやってきた社員に対してどこか後ろめたい感じは残るのだろう。
しかし、別の例もある。
ある企業では社員ナンバー1を後継者に指定しておいて、売却した例もある。私は新社長と話していてが、彼はやる気満々だった。それまでの重役ではもの足りなかったと思う。「雇われ社長」とは言え、社長だ。自分の理想とする経営に向けて腕を振るうチャンスを得たことは喜びだったに違いない。私には「オーナーは私の首を切れない、誰がこの会社を動かすんですか。」と言っていた。
中小企業の場合、社長の個性出ているため、従業員との人間関係からは何かしら問題は残る。社長としてはM&Aが会社存続のためによい選択であることを示す必要があるように思う。