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№513 生き残りをかけて

№513 生き残りをかけて
 厳しい不況が続いている。リーマンショックの時、余りの急激な景気の落ち込みに私たちはハンマーで殴られたようなショックを受けた。当面の借金をどうするか、従業員たちの給料をどうしたらいいか、社長の資質がためされたと思う。どれだけの社長たちが眠れぬ夜を過ごしたことだろうか。
 
 私の関係する会社でも社長たちは追加融資、リスケ、助成金、大幅なリストラなど手を打ち続けた。厳しい経営の局面に立ち、社員に厳しさをその伝え、社長が先頭に立って乗り切る決意を示し、全社の結束を固めた。
 
 当時のことを振り返ると社長たちは身の毛のよだつような恐ろしい体験だったかもしれない。当時、私は弁護士として会社の資金繰り、債務対策について検討を重ね、相談に応じてきた。もちろん、こうした眼の前の対策はどうしても必要だっただろう。
 
 しかし、一方で、社長たちはこのままではいけない、何とか新しい顧客を開拓しなければならないと焦りにも似た気持ちもあったろう。仕事のないならないなりに、そのときでしかできない顧客開拓をいてもたってもいられない気持ちで実践してきた。
 
 今は、不況も長期化し、超低空飛行は続いているが、何とかやってきているというのが実感だろう。突然の不況化、全社あげて考えて考えぬいてやってきた作業はけっして無駄ではなかったと思っている会社もあるかもしれない。
 
 ところで、あのとき、焦りにも似た気持ちで顧客開拓を実践してきた感覚は残っているだろうか。どんなに内側で努力しても顧客が増えなければ企業は生き残れない。私たちが置き忘れてきた顧客はなかったか、新しい事業の向こうに私たちを待っている顧客はあるか、当時、私たちは思いついたらなりふり構わず実践したはずだ。
 
 市場開拓の必要性は今だって変わりない。市場開拓では無から有は生まれない。どんなに新しい事業だってそれまでの事業の強みを活かして生まれてくる。何か種がなければ生まれてこない。自社の強みは何か、その強みはどこかに生かせないか、不況化の社長の問題意識はそこにあったはずだ。その強い問題意識を忘れてはならない。