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№486 銀行にだまされた! 金融商品に注意

№486 銀行にだまされた! 金融商品取引に注意
 金融商品の取引はきわめて技術的でシロウトには手が出ない。よほど専門的知識がない限り絶対に手を出してはいけない。それがたとえ銀行の勧誘であっても安心してはいけない。企業が金融取引に関わる場合、個人のそれとは投資額の桁が違う。億単位で損失が出ることも少なくない。

 最近ある企業の社長から金利スワップに関する相談を受けた。金利スワップ取引のために既に1億を越える支出し、さらに途中解約を申し入れたところ、数千万円の違約金を支払うよう求められたというのである。 

 昨今の不況でこの企業は大幅な減収となったものの、様々な工夫を行い、今期ようやく若干であるが黒字となった。この黒字になった喜びは、この間の不況に直撃された者でなければ分からない。しかし、この金利スワップの損失は会社にとってきわめて深刻な打撃となる。会社の存亡に関わる問題だ。 

 「どうして、そんな。」
 社長としては契約書に判を押したことを悔やんでも悔やみきれない。従業員200名を動かす企業の社長であり、仮にも経済人の端くれだ。契約の重みは重々知っているはすだった。 

 この問題は銀行に勧められたことが決定的な要因だった。新支店長は社長に儲けてもらいたいともちかけた。中小企業は自分の事業外では専門性を持たない。こんな難しい金融商品なんて理解できないことは銀行だって分かっている。銀行は会社の体力を重々知っている。 

 このような多額の金融商品でもし失敗すれば会社がつぶれてしまうかも知れないぐらいのことはすぐ分かる。私はきわめて悪質な銀行だと思っている。顧客を犠牲にして自社の利益得る、あるいは支店長自身の実績を作っていくこうしたとんでもない銀行だと思う。こういう銀行があるため、信頼できる取引関係といってもすぐに実現しない。

 ともかく、大変な事態で最近金融商品についていろいろ調べている。最近出された東京地裁の事例を紹介しよう。
 この事例は、メリルリンチ日本証券株式会社に金利スワップ取引を勧められた会社の事例だ。メリルリンチ側はこの会社に対して、リスク評価について情報を開示せずに、リスクを過小に説明したとして賠償を認めた。メリルリンチ側は会社に約7億円を支払うよう命じている(H21.3.31判時2060号)。