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№395 シャーロック・ホームズのダンディズム

№395 シャーロック・ホームズのダンディズム
(中小企業法務ではありません。)

 シャーロック・ホームズの冒険は誰でも一度は読んだことがあるのではないだろうか。今でも、ベーカー街221Bに手紙を出すとホームズから返事が来るそうだ。小学生だった私は、シャーロック・ホームズすっかり感化されて、自分一人で推理ごっこを楽しんでいた。玄関に靴が並んでいれば、私はホームズのように中にいる人間を推理したものだ。

 シャーロックホームズは1954年に生まれ、1877年に探偵業を開業し、1903年に引退したことになっている。折しもヴィクトリア朝後半の出来事であり、大英帝国は世界を席巻していた。相棒の医師ジョン・ワトソンは英国植民地だったインドからの退役軍人だ。

 ホームズはベーカー街221Bでワトソンと共同生活して難事件に取り組んだ。ホームズは身長180cm、パイプのくゆらしながら推理をめぐらしている。

 彼の真骨頂はおそろしいほどの博学と病的なまでの事件への執着だ。どの分野にも高いレベルの知識を持つ彼の姿勢は特別なダンディズムを感じる。ホームズは時々コカインを吸引した。殺人事件への執着も彼にとっては教養の一つでしかないかもしれない。ホームズが「正義」を口にしても何となくそらぞらしくなるだけではないか。この暗さは侵略のためには麻薬をも扱った大英帝国のもっている暗さなのかもしれない。

 確かに私のシャーロック・ホームズ像にはいつもパイプの煙が揺らいでいるし、暗い探偵事務所でゆったりとしたソファーに腰をかけている様子を思い出す。時にはシェークスピアをそらんじ、推理に疲れれば愛器スラディヴァリウスでメンデルスゾーンを奏でる。ドラマの中でも常に当代一流の音楽家のコンサートに出かけている。

 イギリス流ジェントルマンであるホームズは女性に対して丁重にあつかうも、けっして女性に関心があるわけではない。センチメンタリズムを排し、何事にも一流を極める彼の知性こそ、ダンディズムの源泉だ。その一流も自分のためだけに極められるところが重要だ。

 私はホームズの冷静さ、鋭利さに憧れる。余りの冷静さや、徹底した自己責任の姿勢から冷たさから、正義であるとか愛情であるとかは後景に退く。しかし、たたけばなにやら深い愛と正義を顔を出すのだ。それもまたダンディズムというところか。