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№375 ナルシス

№375 ナルシス
 この期に及んで受験する大学で悩んでいた娘が,今日はすっかり変わっていた。どうも,学校の先生,塾の教師,友達などあっちこっちで相談しまくっていたらしい。

 いろいろ,考えてやっぱり当初の志望校に選択したということだ。なんだか,今日は希望にあふれている。さすが若い娘は気持ちの切り替えが早い。おじさんだとそうはいかない。

 と,脈絡無く娘と話していて,
「私って,ナルシストかしら。」
いきなりなんだ。
「ナルシストって自分に対する自信ってことじゃないの。」
「そうだな。自分が大好きじゃなきゃだめかもしれないな。」

「おい,はーちゃん。ナルシスって知っているか。」
「ナルシスって,水仙になっちゃった人じゃないの。でも,自分だとわからずに恋したんじゃなかったかしら。それって,ナルシストじゃないんじゃない。」
「うーん,それはかなり哲学的な話だな。確かに,自分だとわかってなかったんだから,自分に対する過信はないな。でも,ナルシスなんだよ。」
「えっ,何が哲学的なの。」

と,また話が飛ぶ。
「大学に入ったら本を読んでみたいわ。」
「何の本?」
ヘーゲル
「えっ,ヘーゲル?」
 しかし,娘は普段は本など読まない。歌謡,バラエティ,芸能ニュースが大好きだ。

と,突然,娘が私に顔を近づけて,じっと私の顔を見る。なんだ,なんだ。
「ねえ,目に隈ができてない。」
「できてるか。」
「リンパ」
「こんなところにリンパがあるかね。」
「適当よ。でも,血行がおかしいんじゃないの。人間ドック行った?」
「行かない。とうさんは病気にはならん。」
「もー,困るでしょ。」