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№278 消滅時効にご注意

№278 消滅時効にご注意
 我々弁護士にとって,期限の問題ほど恐いことはない。法律の現場はそれほど緊急性の高いことは少ない。医療の現場では瞬時に何かなさなければ死亡するという取り返しのつかない重大な問題が起こるが,われわれの現場はそんなに緊急性のあることはまずない。

 しかし,期限の問題はそれを過ぎると取り返しがつかなくなるため本当に気をつかう。例えば,一審判決が出て,判決書受領後2週間以内に控訴しなければならない。依頼者が迷っているとあっという間に2週間ぐらい過ぎてしまう。ぎりぎりになって「先生,やっぱり控訴します」などと言われると正直言って困る。

 期限の問題でもう一つ気をつかうのが時効だ。
 
 「請求しているから大丈夫です。」という信仰がある。これは間違いだ。法律上,請求は裁判などを通じた請求ということになる。請求書の請求はの催告という言葉でつかわれている。請求書を出すだけでは時効は中断しない。但し,時効の停止という特別な効果はあるが,時効は中断しない。停止するのに中断しないなど一般の人にはには分からない言葉だろうが,法律の世界の特殊用語法だ。

 民法上,時効は原則として10年だ。
 会社の取引など商行為による取引は5年が原則だ。
 さらに,交通事故など不法行為の請求権は被害及び加害行為を知ったときから3年だ。
 保険金請求権は2年だ。これは忘れやすい。
 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権は3年だ。
 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権は2年だ。

 もちろん,我々は時効を活用して相手と戦うこともある。