№209 廃棄物って何だろう。その2
廃棄物は人によっては資源だ。でも,ゴミではないと言いつつ,野積みにしたり,廃掃法上の処理を起こった事例は枚挙にいとまがない。
法律も判例も,本人が資源だと言い張っても,ゴミはゴミだと言えるような基準を作ってきた。おから事件では次のように言う。
「自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形式、取引価格の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である」(最高裁平成11年3月10日)
この場合で特に重要なのは価格だ。お金を出しても運んでもらうという「逆有償」は廃棄物認定の重要なメルクマールだ。
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ちょっと長いが,「廃棄物」の定義をめぐる資料を添付しておく。
① 平成12年旧厚生省通達「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について 」
二 占有者の意思とは、客観的要素からみて社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思であること。
三 占有者において自ら利用し、又は他人に有償で売却することができるものであると認識しているか否かは、廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素になるものではないこと。
四 占有者において自ら利用し、又は他人に有償で売却することができるものであるとの認識がなされている場合には、占有者にこれらの事情を客観的に明らかにさせるなどして、社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思を判断すること。
五 使用済みタイヤが廃棄物であると判断される場合において、長期間にわたりその放置が行われているときは、占有者に適正な保管であることを客観的に明らかにさせるなどして、客観的に放置の意思が認められるか否かを判断し、これが認められる場合には、その放置されている状態を処分として厳正に対処すべきこと。
② 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて(公布日:平成17年3月25日、環廃産発050325002)
「廃棄物」か否か判断する際の輸送費の取扱い等の明確化
一 その物の性状が、再生利用に適さない有害性を呈しているもの又は汚物に当たらないものであること。なお、貴金属を含む汚泥等であって取引価値を有することが明らかであるものは、これらに当たらないと解すること。
二 再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業として確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するものであること。
三 再生利用するために有償で譲り受ける者において、名目の如何に関わらず処理料金に相当する金品を受領していないこと。
四 再生利用のための技術を有する者が限られている、又は事業活動全体としては系列会社との取引を行うことが利益となる等の理由により遠隔地に輸送する等、譲渡先の選定に合理的な理由が認められること。
③ バーゼル条約
. "Wastes" are substances or objects which are disposed of or are intended to be disposed of or are required to be disposed of by the provisions of national law;
「廃棄物」とは、処分がされ、処分が意図され又は国内法の規定により処分が義務付けられている物質又は物体をいう。
バーゼル条約では付属書をいくつか設けて、客観的に廃棄物を定義している。それは水銀、鉛といった有害物質に注目して定めてあるもの、生産工程(例えば医薬品)か生まれるもの、爆発性など当該物の特性に応じて定めているものとしている。バーゼル条約を実施するために我が国では「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」が定められ、輸出入の監視を行っている。