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№208 廃棄物って何だろう。その1

№208 廃棄物って何だろう。その1
 最近はゴミも資源だと言う。捨てられた携帯電話の中にレアメタルの「鉱脈」もあるそうだ。このように廃棄物も人によってゴミ,宝の山と違うことになる。

 法律の分野では「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」とうい長い名前の法律が担当している。私たちは「廃掃法」と短くして呼んでいるが,長い歴史の中でこの法律もどんどん進化してきた。弁護士の間でもこの法律を正確に知っている者はきわめて少ない。

 廃掃法2条1項では「廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう」と定義する。

 要するに「不要物」ということになるが,ゴミの山であっても,これは俺にとっては資源だと言い張ったときには,そうかもしれないということでなかなか行政は手を出さない。ニュースで問題になるゴミ屋敷などでは,俺にとっては宝だと言い張って,いつのまにかゴミの山を築き上げている。

 廃掃法の歴史の一つにはこの「有価物」とは何か,「不要物」とは何かをめぐる政策の展開があった。前に話した「おから」事件は非常に有名だ。個人的には「有価物」だと言っても,お金を払ってもらっていれば「おから」はゴミだ。

 我々の世界では,こうした行為を「逆有償」と呼んでいる。いらないからお金を払っても持っていってもらうのだから,誰が見ても「不要」として処理されていることになる。つまり,本人の考えとは無関係に,客観的に見ると「不要物」という考えを示した点で「おから」事件は重要な意味を持つ。