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№154 倒産企業と税務署

中小企業法務 №154 倒産企業と税務署

 「倒産」というのは実は法律用語ではない。不渡り処分,破産,再生手続きなど事業が終了してしまうような状態を倒産と言っている。このような倒産企業から債権を回収することは至難の業だ。多くはあきらめなさいということになる。

 とはいえ,倒産企業にあっても多少の財産が残っている場合は少なくない。在庫,未回収売掛金,不動産などわずかな財産をねらっていろいろな争いが繰り広げられる。

 もっともえげつないのが税務署だ。税務署の対応は早い。倒産を察知するとわずか2,3日で売掛金を差し押さえる。それも全額だ。つまり,150万円の滞納税金に過ぎなくても200万円全額を押さえて一旦税務署が回収し,とりすぎの分を返すという仕組みになっている。権力というのは何でもできてしまう。

 そのため,倒産企業の債務整理を考えるとき税務署対策は必須となる。つまり,企業にとって,わずかに残った売掛金や在庫は当面の活動を支える貴重なお金だ。社員には最後の給料を払わなければならないだろうし,破産などの法的手段だってただではできない。社長の当面の生活も考えなければならない。いろいろお金は必要だ。だから,税務署にとられないよういかに秘密裏に倒産関連手続きを進めるかが重要になる。