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№153 アルファリゾート・トマム

№153 アルファリゾート・トマム

 北海道勇払郡占冠村にあるスキー場・リゾートホテル・コンドミニアムを中心とする通年型複合リゾート地である。1980年代から開発が始まり,おりからのバブル経済のフィーバーに乗って,全国的に有名になった。1987年(昭和62年)には総合保養地域整備法,悪名高きリゾート法が制定され,世の中は大型リゾート開発のブームに沸いたのである。北のトマム,南の宮崎フェニックスリゾートは華やかな大型開発の象徴だった。

 トマムでは会員専用ホテル「ザ・ヴィレッジアルファ」、超高層ツインタワー「ザ・タワーⅠ/Ⅱ」、ゴルフコースができ,1992年にもう一つのツインタワーであり、全室スイートルームの「ガレリアタワー」・全天候型温水プール「VIZ」・「ホテルヴィラスポルト」・「オスカースイートホテル」・ショッピングモール「フォレスタモール」を竣工された。

 占冠村ではアルファリゾートのために,景観条例を作り,町の景色をアルファリゾートに合わせるために建築制限が行われた。急激な開発のために,水道,下水,廃棄物処理などさまざまなインフラの整備が必要なり,村も必死にアルファリゾートについていった。

 アルファリゾートはバブル経済の崩壊と共に倒産し,現在は再生に向けた努力が続けられている。私の目から見れば,大型開発に村は翻弄され,一体何が残ったのだろうと思う。アルファリゾートは非常に華やかだったが,全てが施設内でまかなえる開発に本当に町は潤ったかと思う。余りにも従属的なまちづくりに,まちづくりの担い手は育ったのだろうかと思う。

 村作り,町作りはそこに住んでいる人が主人公でなければあり得ない。バブル期のリゾート開発は一攫千金を夢見た金の亡者どもの夢のあとだ。地域が持続的であるというのは地域住民がそこで産業を発展させ,次の世代に引き継げるという状態が必要だ。持続社会の形成にとって,中小企業家の役割は自ずと明らかだろう。