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№124 中小企業における労働問題

中小企業法務 №124 中小企業における労働問題

 中小企業における人間関係は濃密で,いろいろ紛争があっても法律的な処理をすることが少ない。また,経済力に乏しい結果,労働法上の規制は大企業に比較して相対的に負担が大きい。例えば,雇用の問題,残業代の支払いなどを考えてもそうだ。労働時間の制限を超えて働かせたり,さらには未払い残業代も支払わない例が少なくない。

 経営者一人一人に問題じゃないかと尋ねると,その多くは「分かっているんですけど」という回答が返ってくる。規制の負担,さらに,規制を全うするための人事,労務費の負担は中小企業では厳しい。それだけに,ひとたび労使紛争が生じれば,問題は先鋭化する。

 例えば,突然,地域合同労働組合が団体交渉を申し入れてきて,激しく対立する例もめずらしいことではない。近所にビラをまかれたり,多数で押し寄せてきたり,中小企業の経営者にとってこんな紛争は大変なことだ。こうしたことをきっかけに法律事務所の門を初めて叩く経営者も多い。

 EUでは中小企業は経済の原動力であるという,Think small first. という考え方がある。ドイツでもこの考えから,中小企業に負担が大きい解雇制限法適用の基準を緩和しようという動きが続いている。小規模企業には解雇制限法の適用しないとする政策だ。これは,中小企業政策の根幹にかかわる非常に重要な争点を含んでいる。