№2239 組織の声を聞く Listening to evolutionary purpose
強い指導力によるマネジメント
組織の使命(mission)がどこで作られるかは大きな問題だ。通常はトップマネジメントもしくはボードメンバーが考え出し,組織に浸透させていく。ジャック・ウェルチは徹底的に成果を求めGEを成功に収めていった。彼の著者の題名は「勝利の経営」(Winning)(日経新聞社)だ。
ティール型組織ではこのような発想をとらない
組織は創業者あるいは仲間たちによって誕生するが,誕生の時点で組織は存在理由を持っていると考える。組織の使命は社長,社員といった構成員の活動によって徐々に発展し,形になっていく。
組織には組織独自の存在価値(evolutionary purpose)が存在する
人のDNAは存在するが,教育,栄養状態,外部環境によって人の形は異なっていくし,人生を選択する過程で人としてのあり方も変わっていく。人は選択の連続によって,自分がなぜこの世に生まれてきたか,自分の使命を自覚する。
組織もそれと同じようなものだという。構成員が組織に所属して仕事をし,人生における自分の本当の姿を明らかにしていくとともに,組織は組織の本当の姿が見えてくるようになる(76頁)。こうした発想であるかぎり,組織の使命と個人の使命は一致するし,構成員にとって職場は自分が成長できる場,人生を充実する場として機能する。
全員経営型組織では現場の声が大切
こうした組織では現場の判断(営業,総務,社長あらゆる現場)が重視され,現場での工夫や前進が会社の発展であるとの確信が生まれるし,人生を充実させるものであるとの意識も生まれる。
組織の理念は社長だけのものではありません
会社の理念(evolutionary purpose)はリーダーのものではなく,全員が共有しなければならない。
「組織はまさに私たち人間と同じように使命を持ち,進化したいという情熱を持ってその使命に向かって進む」。「創業者個人の希望と欲望とは明確に区別された,組織自体の生命と目的があ」るという。リーダーは自分の希望,欲望といったん距離を置き,組織の声に耳を傾け,何が必要か感じ取る必要がある。
“the organization as having a life and purpose of its own, dstinct from your own wishes and desires.”
リーダーには大切な役割があります
しかし,だからと言って,リーダーが軽視されるわけではない。むしろ,こうした全員参加型企業という組織設計を選択するという重要な役割が存在する。また,組織が常に組織の声(使命)に耳を傾けているか,エゴを露出し組織のミッションに反する行動をしていなか感じ取る(sensing)必要がある。そして,リーダーは助言によって(指示ではなく!),組織が方向を見失いように注意深く対応していく必要がある。
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