№1563 抵当権と租税,どっちが優先?
国税や地方税と言った地方債権はどのような債権にも優先して支払われるというのは私たち弁護士は常識的に知っている。会社を建て直したいと思うのならまずは租税関係の債権(社保も含む)の支払いを考えなければならない。しかし、どのくらい優遇されているかとなるとなかなかわからない部分がある。
たとえば、私は次の条文は知らなかった。
専門的になるが,この「納税者の総財産」というのが問題だ。抵当権の優劣関係は次の様になる。
これは抵当権設定時期と納税の法定納期限との前後できまる。
① 抵当権設定時期の方が先 → 抵当権が勝つ
② 抵当権設定時期と法定納期限とが同じ日 → 抵当権が勝つ
③ 法定納期限が先 → 租税が勝つ
国税が抵当物件を差し押さえた場合,差押の登記よりも抵当権設定登記時期が早い場合でも抵当権が負けることがある。
つまり,差押えが後の日でも,法定納期限が抵当権設定時期より先である場合が租税債権の方が優先する。
私たちの常識からすれば,法定納期限は登記で表示されないので,外部からはわからない。それでも国税が優先する場合があるというのは常識に反するように思われるが,国税は国家権力なので,国家がそう定めればしかたがたない。
なお,担保物権と租税との関係の条文は次のとおり