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№1173 「両利きの経営」(Ambidexterity)

№1173 「両利きの経営」(Ambidexterity)

発音できないAmbidexterity
 経営学の初心者中の初心者向けの入門書だが読んでみると意外に深い。

 その中に「両利きの経営」という考え方が出てきた。英語ではAmbidexterityと書くのだが、うまく発音できない。専門用語というのはこんなものかもしれない。

これは簡単に言えばこういうことになる
 創造性のためには知の「広がり」と知の「深化」があって、それぞれバランスをとりながら経営して初めて創造性は発揮される。

 有用、不要も含めてたくさんの知識を背景にイノベーションは生まれる。視野を広げるということだ。また、既に持っている技術を積み重ね、深めることもイノベーションには必要だ。この(広げる+深める)の両方がバランス良く必要だというのが「両利きの経営」(Ambidexterity)の意味だ。

そこそこ広いがちょうどいい
 しかし、広ければいいってものではなくて、創造性ある企業というのはそこそこ広いという傾向を持っているようだ。どの程度がそこそこかという研究は特許を例にけっこう研究されているらしい。

 おそらく問題はなぜ「そこそこ」の方がよいかというところが重要なのだが、どうもよく分からないようだ。私達の周りでも、やたらと雑学的に博識なヤツはすごいと言われるが、けっして尊敬されるわけではないのと似ているかも知れない。

そこそこ深いがちょうどいい
  また、むやみに深めても意味がないようだ。コンピテンシーcompetency)とは現場にあわせた適応能力で,個人の創造的力の源泉とも言われる。一方で,コンピテンシートラップという言葉があって、むやみに深めることがかえってイノベーションを停滞させるというものだ。シャープの液晶などはそうかもしれない。

日本のガラパゴス化はコンピデンシートラップ?
 ここで、わざわざコンピテンシートラップ(マーチ1991年)という言葉を使っているのは、そうしたガラバゴス化が、組織的欠陥として発生する点を指摘しているからだ。つまり、組織は常に保守的な傾向になりがちで、身近にある知識のみに執着してことなかれに流れやすいという点を指摘している。この意味は実に深い。

「両腕利き経営」の本質
 こうして、知識の広さもそこそこ必要で、知識の深みもそこそこ必要という経営こそが「両利きの経営」研究の本質で、この奥深い研究はイノベーションのメカニズムを解明するという奥深い役割を担っている。

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