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№953 解雇の相談

№953 解雇の相談
 労働問題について顧問関係からの相談はめずらしくない。
 解雇は労働者にとっても死活問題なので簡単にはできない。そうなる前に職場の規律には細心の注意が必要だ。裁判になった場合は会社もけっこう傷がつく。

 自律性の強い社員はとても頼もしい。自分で考え行動してくれる。新しい提案のしてくれる。人間関係も積極的に作ってくれるので社内の融和にも役立つ。顧客との関係も作り上げてくれる。しかし、こうした行動も会社への忠誠心あっての話だ。

 こうした自律性は何でも自分中心でないと気が済まないという性格を併せ持つことがある。自律性が強く社内でも信頼ができあがる。そうなると徐々に上司へや社長への不満へと発展する可能性を含んでいる。上司は自分の意見を取り入れてくれない、上司は人間関係を作るのが下手だ、上司よりも自分の方がまわりの意見を吸い上げることができる。そして、社長は自分より上司をかばうのはなぜだ!というようなことになる。

 自律性の強い彼女は上司への不満を彼女は徐々にまとめあげ、周りの社員を巻き込んでいくことだろう。仲間を作った彼女は本音と称して上司への赤裸々な不満、攻撃を仲間内で始めるかもしれない。

 最近は電子メールやチャットシステムなど発達しているからこうした「本音トーク」を社内で、仕事中に始めるかもしれない。最近の若い人はフェイスブックで「本音トーク」を始めているかもしれない。あるいは、「あいつ、ちょーむかつく(-_+)」「あんなやつ上司じゃないよね。あっ、いっちゃった。f(>_<;)」なんてチャットをやり合っているかもしれない。こんなやりとりは少なくとも職務時間中は禁じなければならない。

 部下は部下なりの職分を果たすことが会社には求められる。上司の能力を高めるのも部下の役目だ。自分のために職場内で発言するのか、会社のために発言するのかはこのあたりで違ってくる。

 相談の事例ではだんだんエスカレートし、不満を社内外に言うようになり、会社の信用にかかわる事態となった。会社としてはこの社員を解雇したのだ。社員の行動からすれば解雇は当然だが、そうなる前の一手が難しい。