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№663 李克、曰く 自分より優れた者を集める力

№663 李克、曰く 自分より優れた者を集める力

  優れた部下を使いこなす能力より、自分より優れた能力を使いこなす力こそが、トップの資質だ。

 司馬遷史記の中で、魏の名宰相、李克を取り上げている。紀元前400年ころ、中国戦国時代、魏の文帝は李克に次期王位承継者の人物を尋ねた。

 李克は人物選択の基準に下記の5つをあげた。
 李克は言った。
 「王様、これは王自らご判断されることではございますが、自らより他人利益を考え、窮地にあっても迷わず常に正しくありたいと行動する人物を選ぶべきでございます。」

 それを聞いた文帝は弟魏成子(ぎせいし)を選択した。李克は魏成子を選択したことは正しいとした。
 
 しかし、この選択に文帝の太子は不満だった。
 太子は李克に言う。
 「余も成果をあげているではないか。私は現にすぐれた部下5名を配し、大いに戦勝をあげたではないか。」

 李克は言う。
 「太子様、この5名はしょせんは太子様の部下でしかございません。しかし、魏成子様はその徳により、3名の賢人を臣下に迎えております。その3名はいずれも魏成子様が師と仰ぐ者たちばかりでございます。集めた人物の違いはそのまま徳の差となって現れているではないでしょうか。」
 
 王の徳とは、自分よりすぐれた者を臣下につけることができる力にある。
 
 これと似て、おもしろいのは鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの墓碑銘だ。これは生前、彼が自分で考えたものだという。

"Here lies a man who knew how to bring into his service men better than was himself"
「自分よりすぐれた者を集めるすべを知っていた者、ここに眠る。」 
 
【李克が示した基準】
 
   居視其所親
   富視其所興
   達視其所擧
   窮視其所不爲
   貧視其所不取
 
居ればその親しむ所を視(不遇の時、誰と親しくしているか。)
富めばその与する所を視(富裕の時、誰に与えたか。)
達すればその挙げる所を視(高位の時、誰を登用したか。)。
窮すればそのなさざる所を視(窮地の時、不正を行わなかったか。)
貧しければその取らざる所を視(貧しいとき、貪りとらなかったか。)

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