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№623 北京便り その3

№623 北京便り その3
 中国に来てひしひと感じるとのは中国経済構造の変化だ。
 中国は賃金上昇、賃金格差の上昇、社会保障の充実、環境保護の重視などをかかげた。しかし、ニュースで見る限りは、大学生の失業率は高いそうだ。農村の所得水準は低い。そんな状況で、賃金水準を高くした場合はどんなことが起こるのだろうか。
 
 北京に来て私が考えなければならないことは、法律実務家である私がやるべきことは何かということだ。WTO加盟以来、中国は経済関係の法律の整備を進めている。一方で、労働格差や労働条件、安全衛生、社会保障などに対する法律の整備も急速に進めている。深刻化する環境問題に対する整備もある。
 
 中国の法整備はあまりにも急で、現場でのやるべきことはたくさんあるように思う。中小企業は法律問題を余りにも軽視しすぎる。これは日本でも同じことだ。進出企業は経済開発区と契約を結ぶのであるがその内容は大丈夫だろうか。おおかたは問題は無いだろうが、例えば、撤退に際しての対応はできるだろうか。
 
 中国の制度はめまぐるしく変わる。取引に関する問題はたくさんあるだろうが、最も重要な問題は行政との関係で自社を守らなければならない点だ。中国では許認可権に対応して行政関係者が利益を得る仕組みがあるらしい。賄賂は許されないが、何らかの利権がついてまわっている。
 
 中国の弁護士にとって訴訟は重要な仕事であるが、訴訟外の解決を得るためにはさらに政治上の力関係が必要となるということだ。こうした発想は日本では好ましいものではない。しかし、中国では避けられない発想のようだ。もし、進出した中小企業がトラブルに巻き込まれた場合に、こうした信頼できる人間関係をどこに見いだすかも重要なことだ。
 
 こうして考えるとやることが多くてちょっと大変かな。