№1335 たまには動物はいかが? ジュゴン
ジュゴンは海牛目の海のほ乳類ですが,イルカやクジラの仲間とは違います。体長はだいたい3m,南半球に分布し,フィリピンぐらいまでは分布していす。かつては,日本の奄美大島付近まで生息していましたが,今では沖縄本島に数頭いる程度になっています。台湾,石垣島などの南西諸島のジュゴンは絶滅しました。
ジュゴンはイルカやクジラと違い,草だけを食べる草食獣です。草と言っても海の草です。これは陸上の草が進化して海のなかに適応するようになったものです。そのため,ジュゴンは草の生えているところしか生息できません。陸に近いところにしか生きられないジュゴンは乱獲にあったり,漁網にひっかかりしたりして数をどんどん減らしていったのです。
沖縄ではかつはジュゴンがたくさんいて,いろいろな言い伝えがあります。ジュゴンは人に似ているため,神様の乗り物とされてきました。ニライカナイという海の彼方の幸せの国に神様がいて,ジュゴンに乗って,里にやってきます。ジュゴンをいじめれば津波に襲われ,ジュゴンを助ければ津波を予告してくれます。
ジュゴンはひれがあって海に適応した進化を遂げていますが,動きは緩慢です。ジュゴンに似た動物にフロリダにたくさん住んでいるマナティがいますが,これは全然動きません。ジュゴンはどうも競争的ではないようです。鳥羽水族館などに行ってジュゴンを見ると,平和な顔に癒やされます。