名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№135 風土の話

中小企業法務ではありません。 №135 風土の話

 私は仕事の関係で全国に移動している。
 当然の事ながらその地域の風土というようなものを感じざる得ない。今週は山口県上関というところに足を運んだ。

 確かに瀬戸内は美しい。おとといは空気が澄んでいたのでたくさんの島々を見渡すことができた。まだ暗い早朝の波止場には連絡船を待つ人たちがいて,いろいろな荷物が集まっていた。船からくる油のにおいと潮のにおい,人々の声は私たち日本人の原風景の一つだ。

 私達は連絡船に乗って,次の港に着くまでには夜が明けてきた。次の港で私達は少し散歩することになった。漁村というのはどこもそうだが,急峻な崖を背後にした集落が集まっている。迷路のような細い道を,山に向かって登っていくと神社や学校があり,あたりは急に開け,瀬戸の海を見渡すことができる。朝日が昇り,瀬戸の海をまぶしく照らしている。瀬戸の島々の間を走る多くの船,それは涙が出るような光景だった。

 瀬戸の人々は誇り高い人々だ。それは遠く邪馬台国大和朝廷の時代から中国,朝鮮と日本を結ぶ交通の要所の一つだったからだ。今回,瀬戸内の町をまわって改めに交通の要所であることの重要性を知ることができた。交易によって人々,物品が集まり,裕福な商人が現れ文化を創っていく。そこには長い伝統の中でつくりあげてきた美しい町並みが残っている。

 商業が栄え,町ができていく。京都,祇園祭は京町衆が支えてきたのであるが,その人々を生活できたのは西陣や友禅と言った産業があったからだ。たくさんの職人があり,それを結ぶ悉皆屋というのがあり,さらに問屋がある。「旦那」と言われる人々もおり,こした人々全体が「祇園祭」というたぐいまれな祭りを創り,守ってきた。まさに地元に根付く商工業者が町の文化を創ってきた。