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№2318 雇主側の罪,不法就労助長罪

№2318 雇主側の罪,不法就労助長罪

 日本語学校が留学生のアルバイト先をあっせんしていた事務局長が有罪となった事例がある(大阪高裁平成 9年 4月25日判時1620号157頁)。

留学生がアルバイトする場合にはいくつか制約がある
 ① 留学生が資格外活動許可を受けていること
 ② 風俗関係営業などはないこと
 ③ 1週28時間以内を限度としていること
  (当該教育機関の長期休業期間にあっては、1日8時間以内)

 本件では本件就学生が資格外活動の許可を受ける以前に就労を始めるとともに、資格外許可を得た後も1日4時間以内という許可条件を越え、約8時間から長いときには10時間を越えて就労していた。これらの行為は明らかに入管法に反する。

不法就労助長罪
 このような雇い入れは不法就労助長罪(法73条の2)という罪になり,「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」となっている。

【法が定める3態様】
1号 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
2号 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
3号 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

この処罰は知らなかったではすまない
 入管法73条の2,2項は「知らないことを理由として、・・・処罰を免れることができない。」と厳しい内容になっている。もちろん,結果論では処罰はできないが,知らないことについて過失がないことを立証しなければならない。ないということを証明することはかなり難しい。この条文は罪刑法定主義の点から問題があるかもしれない。

あっせんの結果がよかろうと悪かろうと処罰されます
 東京高裁の事例では,事務局長の斡旋行為が学生に不利益もたらしていないから犯罪とすべきではないという議論があったようだが,裁判所は「文言上あっせん行為の内容が業としてなされることを要するほかは何ら限定されていないとし,「そのあっせん行為自体がどんな目的があったかは関係ないとしている。

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