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№2294 難しい解雇の相談

№2294 難しい解雇の相談

解雇事件は難しい
 顧問からの相談の中で解雇は最も難しい案件の一つだ。解雇といっても普通解雇,懲戒解雇などがある。労働契約法では正当な理由無くして解雇できない。さらに懲戒解雇となると判例はほぼ刑事事件のように扱っており非常に厳しい。労働者の人生を大きく左右するものであるから当然と言えば当然なのだがこのあたりの理解が足りない経営者が多い。

難しい事件は判断要素に分解します
 要するに解雇が認められるか否かはやってみないとわからないという不確定要素が大きいという点にある。私たちは事案をかなり細かく分析して,可能性について説明する。つまり解雇が認められる事情と否定される事情を説明し,解雇が認められる場合にはどのような結末になるか,解雇が認められない場合にはどのような結末になるか,この幅を説明して経営者に選択をしてもらう。

判断要素は多いより少ない方がよいです
 どのような事件でもそうだが,判断には幅があり,考慮要素を整理する。考慮要素といっても多くの場合事実を整理して,この事実,この事実,この事実があるから,こう判断するということになる。考慮要素が多すぎると一見緻密に見えるが,実は整理されていないと同じになる。弁護士としては可能な限り考慮要素をしぼり,経営者が判断できるように援助することになる。できたら,一つにして判断の分かれ目をつくりあげるべきである。

判断によって労働者対応が大きく違い,これも難しい理由です
【解雇する場合】
 解雇の難しさは,するかしないかによって,解雇前の労働者に対する対応が全く異なる点にある。解雇する方針であれば,当該労働者の問題点を探していく。これは経営者や職場の仲間にとってかなりつらい作業だ。職場は本来友愛の場だ。それを同僚のあら探しをしなければならない。

【解雇しない場合】
 解雇しない方針であれば,当該労働者がどうやって職場になじんでいくかを努力しつ続けることになる。友愛と信頼の場づくりという点では理想的だが,本来解雇したくなるような労働者に対してはそれなりの努力をしてきている。さらにこれを続けるのか,ということになると,経営者としても気持ちが萎えてくる。職場の不満も溜まっていく。

正直いって正解はない
 このあたりは弁護士としてどうしていいかわからないというのが率直なところだ。多くは両含みをしつつ,結局改善の余地がないなと思えばリスクを抱えて解雇するし,なお労働者側の行動によって,改善しそうだという気持ちを起こさせれば,雇用を維持して職場改善に向かって努力していくことになる。その中間,様子をみながら情報を集めるということもあるのでやっかいだ。

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