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№2288 e-コマースの注意点(電子契約法)

№2288 e-コマースの注意点(電子契約法)

e-コマースは常識化している
 インターネットを通じた販売は今や小売り,サービスを問わず当たり前の世界になっている。楽天などのインターネットショッピングモールに出店することもあるだろうし,独自のウェブサイトを作る例もあるだろう。

e-コマースは問題も多い
 商品やサービスを陳列してクリック一つで売買が成立する世界だが,手軽なだけに問題も起こりやすい。クリックするつもりではなかったのにクリックしてしまったとか,数量や注文のコードを間違えたとか,いろいろある。怪しげなサイトに近づいてクリックしてしまったばかりに「お支払いない場合は強制執行することになります」という脅迫めいたメールを受け取った人も少なくないんじゃないかな。

インターネット上の取引を法律上は電子契約とよんでいる
 電子契約の手軽さからくる消費者被害の防止のために電子契約法が制定された。

  経産省電子商取引及び情報財取引等に関する準則」
  経産省施策パンフ(ちょっとおそまつです)

電子契約法は消費者保護のための法律です
 この電子契約法はBtoC,つまり消費者の取引に適用される。事業者間には適用されない。その特徴は,申し込みのクリックは簡単にさせない仕組みを作れというものだ。手軽さかくる被害なのだから,警告を繰り返してクリックを慎重にさせることになる。

 電子契約法は消費者の勘違いを避けるため,確認する措置をするように求めている。具体的には,もう一度契約内容を表示して「申し込みの契約内容をご確認下さい」ともう一度表示することだ。

確認する措置がないと契約は無効になります
 契約したけどこんなつもりじゃなかったという勘違いの場合を法律の世界では「錯誤」という言葉で表現する。真意ではないので,本来契約は無効となる。しかし,それでは契約社会はなりたたないので,勘違いに落ち度がある場合には契約は有効とされる。簡単にクリックしたとしても,落ち度があるということが多いように思う。電子契約法では「錯誤」の場合,「確認を求める措置」をとっていなければ全て無効とした。

電子契約では承諾の返事を出してそれが届かなければなりません
 電子契約法では商品を申し込んだ場合,売主の承諾の意思表示が送られてこないと契約不成立になってしまう。
 民法の場合は承諾の意思表示を発すればよのだが,それでは消費者保護にならないので,売主の承諾がきちんと買主のところに届かないと契約は成立しないことになっている(電子契約法4条)。e-コマースを実施する場合にはすぐに返事を出し,相手に届くように手配しておくことが肝要だ。

 e-コマースでは特定商取引法,景表法,資金決済法,個人情報保護法知財関係法など検討するべき課題がいくつかある。

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