№2286 新規契約の始まり
成約時が勝負
高技術を売りにする製造業の場合,お客さんの要望を聞き取り,あれこれ工夫して提案し,成約にいたる。受注した時点で顧客とは基本契約を締結することになる。一度基本契約を締結すると変更するのはけっこう難しい。最初が肝心だ。インターネットでダウンロードした契約書をそのまま使うというような馬鹿げた行為は慎んでほしい。
製造業系の基本契約の場合,次の3点に注意してほしい
① 仕様の取り決めと検品・・・どんな場合に不良品と扱われるか
② 不良品とされ場合のとりあつかい。
③ 保証期間
ふだんは契約は問題になりません
日常の取引では傷があるとか,色が悪いとか担当者の主観によって不良であるか決まることがあっても,そこは客との信頼関係なのでわがままに応じたりする。これは商売の問題であって法律上の問題ではない。
ひとたび事故が発生すると大きな会社の命運を左右します
しかし,もう少し構造上,あるいは製造上の問題があり,全品不良,リコールの危機ということになると話はべつだ。賠償要求が大きすぎて応じることができないし,そこまで言わなくてもいいじゃ無いかということもある。そんな場合に威力を発揮するのが上記の①,②,③の条項だ。
①は不良とは言いがたいじゃ無いかという議論に使える。②は不良があったとしても賠償範囲は限られるという議論に使える。③は賠償範囲であっても保証期間は切れているという議論に使える。
読者のみなさんは普通に商売しているので,うちでは弁護士はいらないと思うかもしれない。しかし,全品取り替え,完成品のリコールとなると数千万円,時には億を超えることもあるかもしれない。たった3行の契約条項が会社の危機を救うことはめずらしいことではない。
適当に契約書を作るなんてやめてほしい
新規契約を始める場合,基本契約を結ぶ。くれぐれもインターネットでダウンロードした契約書をそのまま使うというような馬鹿げた行動は慎んでほしい。
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