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№2278 「Xデー」,倒産の日

№2278 「Xデー」,倒産の日

当事務所のポリシー
 当事務所の基本方針はどんな時でもあきらめない。最後の最後まで依頼者につきあっていくというものだ。それでも,倒産してしまう時がある。いったい倒産の日というのはどのようなものだろうか。

「倒産」ってなんだろう
 企業が債務超過となり,キャッシュフローが尽きてしまう。経営者の心が折れてしまいもうだめたという時には倒産となる。倒産というのは法律用語ではなく,破産,民事再生といった法的手段を講じるときであるとか,2回目の不渡りが出るとかいったお金が途絶えて廃業する事態を総じて倒産と呼んでいる。

倒産方針が決まるとXデーを決めます
 倒産を決めると,私たちはそれを対外的に告知する日を「Xデー」と定め,それに向けて準備を進める。通常私たちは次の順序で考えていく。
  ① 倒産後の社長一家の生活
  ② 従業員の生活
  ③ 税金,銀行,一般債権者

破産は終わりではなく,やり直しの第一歩
 倒産しているのに社長一家の生活というのは奇異に感じるかもしれない。船長は最後まで船に残って乗員の命を守るという考えからすれば何をさておきまず従業員でしょうという考えもある。実際多くの社長は従業員をまず第一に考えている。しかし,私たちの立場からは破産は人生の終わりではなく,やり直しの第一歩だ。破産後どんな生活を描いていくかは非常に重要なことだ。

現金回収を重視します
 倒産前,私たちは可能な限り現金の回収を図っていく。破産するにしても実は多くの現金が必要となる。企業倒産では裁判所に納める費用,弁護士費用でも200万円ぐらいは用意しておく必要がある。企業規模によってはさらに必要だ。その他の事後処理費用,特に従業員の給料も必要だ。ともかく現金を集めるだけ集めて,安全な場所に保管していく。

そしてXデー当日
 破産を決めた場合,まず対外的発表日,Xデーを決める。これはだいたい現金回収が終わった日を目安とする。直近に全社員に説明を行う。これは社長の役目だ。この時までに退職手続や解雇予告手当資金のめどを立てておく。Xデー当日に合わせて債権者宛の受任通知を準備する。

そして,当日。破産会社の現場は取り付け騒ぎのような大きな問題は起こらないのが普通だ。たんたんと処理され行く。私たちは現場に行き,張り紙などして事務所や工場など職場を閉鎖し,財産の保全を図る。非常につらい瞬間だ。

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