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№2266 雇われ社長の防衛策

№2266 雇われ社長の防衛策

自分の会社と勘違いしてしまうことがある
 オーナーでない社長というのは時として自分の力を過信してしまうところがある。自分の指揮のもと事業が発展するため,自分の会社だと心の底から思ってしまう。そして,時にオーナー家と対立関係を招いてしまうことがある。

雇われ社長の立場は法的には弱い
 労働者であれば労働契約法や判例の積み重ねで地位は強く保護される。しかし,取締役ということになると別だ。会社法では株主総会の多数決で結せられてしまう。明日から来なくていいよというのは取締役については当てはまる。

法的不安定でも報酬が高ければ文句は言えない
 米国などではこうした外部から経営の専門家を社長として雇い入れ,経営を委ねることは一般的に行われている。オーナーは経営理念であるとか,自社のアイデンティティーなどを指示して経営の実際には専門家に任せるという方法がとられる。そのかわり報酬も高い。

理不尽にも突然解任ということがある
 日本の場合,雇われ社長といっても,子飼いの社員を徐々に昇級させ,最後には取締役や社長にするという方式が多く,実際には雇用に近い意識がある場合が多い。突然の社長解任に理不尽な思いをするケースも少なくない。
 特にオーナーが自分の経営能力も考えないで感情に走ると非常にこわい。

雇われ社長は日常的に自己防衛が必要
 こうした雇われ社長の防衛策は事実上の支配力を注意深く維持していくこと,退任に際して会社への貢献を金銭に換えるシステムを法的に作っておくことにつきる。それも,会社が伸びているとき,この社長がいなければ会社は立ち行かないという時期に準備しておくことが必要となる。

【支配力維持のために】
① オーナー家に対して,自分なしでは経営できないと日常的に思い込ませる。
② 子飼いの部下で経営の重要なポイントを独占し,日常的に接点を作る。
③ 将来株式の買い取りを念頭にしてオーナー家を話し合っていき,脈があれば買取資金計画を作る,買取の法的枠組みを用意しておくなど戦略をつくっておく
④ 定款変更して特定の株主しか権利行使できないという属人株を作ってしまう。

【解任に備えた出口戦略】
⑤ 会社が順調なとき,伸びようとしているときに退職金について話し合い,役員の退職金規程を作っておく
⑥ 自分の持っている株式を買取請求権付き株式(会社法107条,108条)とするか,もしくは出資契約において撤退する際の買取条項などを設けておく。なお,退職金かかわる契約を会社と取り交わしておくという方法もあるが,自己取引になるためそれなりの手続が必要となる。

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