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№2264 事業譲渡による会社再生

№2264 事業譲渡による会社再生

事業譲渡によって負債を切り離す
 リーマンショックのころから事業譲渡によって会社再生を図る手法がかなり一般化してきた。企業の黒字部分を独立させて借金と切り離す手法だ。たとえば,政府が進めている地域経済活性化支援機構でもこうした方式を取り入れている。

そもそも事業って何?
 事業というのは判例によれば「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産」と定義されている。雇用も含むので人的物的設備の総体という言い方もする。財産にはのれんなどの信用も含んでいる。

事業譲渡というのは「事業」の売買
 「事業」は財産なので普通に売買できる。この時に借金は残し,事業だけ移転できるというのがみそだ。契約によって借金は引き継がないとすることは可能だ。そのため,借金を逃れるためにしばしばこの手法が利用されることになる。

事業譲渡実務における考え方
 事業譲渡で借金の重荷を軽くし,事業を再出発させて,再生させた事例は多数ある。本来借金を踏み倒す手法なので,弁護士がこうした事例を扱う場合,かなり慎重になる。私の場合,次の点を注意しながら進める。

 ① 事業の持続という「大義」を明確にする。借金を踏み倒して,残った財産を持って逃げるということであれば当事務所は引き受けない。

 ② 事業譲渡の透明性の確保
   これは一つ一つの財産の移転,特に現金の処理について厳格に管理して,個人的な利益を追求したと言わせないだけの資料を用意する。

事業譲渡による再生で注意する事項はいくつかある
 ① 税務関係はかならず支払う。租税債権は非常に強力な債権なのでこれを軽視すると根こそぎ財産をとられ事業の維持が難しくなる。

 ② 商号の続用に注意する
   事業譲渡しても商号が同じだったりかなり類似していると,借金を引き継いだものとみなされることがある(会社法22条1項)。

 ③ 信用を維持する
   借金を踏み倒して信用もなにもないのだが,事業を持続させるためには信用は必要だ。仕入れ,顧客,協力企業,社員と事業持続に欠かせない人たちの信頼は裏切れない。

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