番外 ばーちゃんは幸せ
私の母は87才になるが一人暮らしだ。本当はいっしょに住まなければならないのだが,事情があって難しい。最近は物忘れがひどくなって,妻がほとんど毎日出かけていって食事を用意している。
さっき言ったことも忘れてしまう。財布をいじっているうちに何のためにいじっていたのか忘れてしまう。電子レンジの中におかずが残ってたりする。今日が何曜日だったかも忘れてしまう。でも,必ず「忘れた方が幸せなんだわ」と自分でいいきかせることを忘れない。
頭の中には絶対のルールがあって,「私の人生は幸せだった」ということになっている。苦労はあったろうけど何もかもうまくいったことになっている。