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№2244 メールのやりとりと契約

№2244 メールのやりとりと契約

 日本のビジネスでは契約書を軽く見る傾向が強い。相手の契約書を見もしないではんこを押していたということで心当たりはないだろうか。契約書はビジネスの世界では非常に重要な意味を持つことを経営者は真面目に考えておくべきだ。

完全合意条項
 契約に至る過程では様々な交渉が行われたり,合意がなされたりする。メールのやりとりも行われる。それまでのいくつかの合意があったとしても,あいまいさを防ぐためには最終的締結された契約書によって法律関係を確定しておく必要がある。

 そこで,私たちは契約書に完全合意条項と言われる内容を盛り込むことがある。

「この契約に規定される内容が当事者間の合意の全てであり,契約締結前に別途作成した書面や口頭の外部証拠は当事者の合意として利用してはならない」

メールのやりとり重要性
 完全合意条項はなくとも,通常契約書が最終的な結論である。しかし,交渉前のメールのやりとりの重要性は依然失われることはない。どんなに緻密に契約書を作っても全てを網羅することはできない。契約書に表現された当事者の意図をそれ以前の交渉経過から判断することは普通に行われる。

メール一人歩きのリスク
 メールの何気ないやりとりが後に大きく影響することもある。「その内容でOKです。」とあった場合に,当時のおいては当事者間で了解済みであっても全く異なる内容の合意として一人歩きすることもある。メールは単純なやりとりなので,誤解を招くこともある。長い文書だと,意味不明になってまた誤解を招く。
 
メールの一人歩きを防止する方法
 そのため,メールが一人歩きするリスクを防ぐために,ビジネス交渉に入るに先立ってあらかじめ,当事者間の合意はいかなる意味でも拘束しない旨の取り決めを合意しておくこともある。
 
 また,やりとりのメールの中に,次の文言を入れておくのもいいかもしれない。ビジネス法務2019年1月号28頁にはこうしたメールの一人歩き防止のための条項が紹介されている。

「このコメントは契約内容をあらかじめ協議したものに過ぎず,契約の正式な締結,変更を意味するものではありません」

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