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№2206 発言しない社員

№2206 発言しない社員

むなしい会議
 会議中発言しない社員がいる。経営者一人がしゃべり,決め,適当に発言を求めるが「それでいいと思います」ぐらいの発言で終わる。これほどむなしい会議はない。

信頼の欠如と会議の形骸化
 私の事務所ではこれは単に会議の問題にとどまらないと考えている。会社に対する帰属意識,責任感,同僚に対する信頼と愛情にかかわる重大な問題が含まれていると思う。どうすればよいかというのはなかなか解決がつかず,経営者としては悩みの種になっている。

 「ティール組織」(英治出版)はこの問題に対して解決の糸口をいくつも提供している。

仮面をかぶる社員たち
 例えば,組織では一般に社員は統制され,組織あった人間であることが求められる。そのため,社員は組織にあった人間であることを示すための「仮面」をかぶるのだという。規則は常にそれに反するかもしれないという疑いをもって社員を眺め,仮面をかぶった社員同志はお互いに疑心暗鬼となり完全な信頼が得られないというのだ。

「愛着した関係(attachment)」
 一人一人が組織のために意見を述べ,前向きな姿勢や創造性を発揮するためには相互の「愛着した関係」,互いに相手を受け入れ合う関係が必要だというのだ。

 ではそのためにどうしたらいいのだろうか。「ティール組織」はいくつもの会社の例を紹介している。たとえばFAVI(自動車部品メーカー)では次の3つの基本原則を定めている。
  ① 人はそもそも善良(信頼でき,意欲的で,頼りなり,知的)な存在だ
  ② 幸福感なくして成果はありえない
  ③ 価値は現場で作り出される。

「人はそもそも善良である」という原則
 このうち①はミーティングあり方にも反映する。例えば,通常の組織では目標は達成できないいいわけを探す場所になりがちだ。しかし,①の原則からすれば,どうしたらよりよく自分が成長できるかという愛情ある教育場として機能させることになる。

 もちろん,原則だけ定めても具体化しないとだめだ。「ティール組織」は信頼し合う組織にするための具体的なプロセスにも触れ,企業心理学という点からの専門性が発揮されている。

自分の希望と組織の声
 これは著書の一例に過ぎない。
 根本的には組織の持つアイデンティティーはどのように発揮されるかという議論から始めるべきであるとしているが,自分の希望と組織の声は違うことがあるという意味深い議論を展開している。

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