№2138 ビジネスの目的はただ一つ "to create a customer"
顧客の創造
ピータードラッカーの有名な言葉に " to create a customer "(顧客の創造)という言葉がある。
There is only one valid definition of business purpose: to create a customer.
顧客が初めからそこにいるのではなく,あなたの商品を購入したときに初めて顧客になる。商売によって商品やサービスを作り上げ,惹きつけ,買う気になってもらい,お金を払ってようやく顧客となる。顧客でない人が,顧客になっていくプロセスだ。ドラッカーが " a customer "とわざわざ冠詞をつけて,個別性を表現しているのも何か意味深な気がする。
生産とイノベーションが大切だ
Because it is the purpose to create a customer, any business enterprise has two – and only two – basic functions: marketing and innovation.
確かにおっしゃる通り,顧客の創造無くして商売は成り立たない。問題はどのようにして顧客になりうる人に,近づき,自らの商品を買ってもらうに至るかと具体的なプロセスだ。これが分かれば苦労はしない。
この具体的なプロセスを解明して天才でなくても天才的な商売ができるようにしようというのが経営学の重要な課題ではないだろうか。
イノベーションはけっこう地道な作業だ
それは結構地道な作業だ。まず,自分の所属する業界を知らなければならない。業界を知り,次に自分の業界内でのポジションを知らなければならない。ポジションを知るためには分類の基準を発見しなければならない。
分類の基準づくりは実はかなり創造的な作業だ。販売する商品で事業者を分類すると言っても,たとえば,サービスを補助して売る,サービスと商品を売る,商品だけを売ると業界を分類して,当社は「サービスを主にして商品を補助的に売る事業者」という業界内の位置づけをした場合,おのずと対象となる顧客や顧客へのアプローチが出てくる。
業界内でのポジショニングは当然業界全体の動向や,自社資源の蓄積,自社の能力の向上ともにらみながら決めていくことになる。外部環境分析や自社分析が不可避となり,これもけっこう地道な作業となる。
創造性こそが事業者の使命だ
しかし,ここで絶対に忘れてはならない大切な作業がある。それは,区分分け(セグメンテーション segmentation)にあたって,新しいセグメントを発見しようとする創造的,野心的な気概だ。マイケル・ポーターは「細分化は既存の常識や定着した分類法の枠を超える必要がある」(「競争優位の戦略」p300)と言っている。このイノベイティブな気概こそ事業者に必要な資質だと思う。
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