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№1216 オープンイノベーションと法務

№1216 オープンイノベーションと法務

オープンイノベーションって知ってます?
 オープンイノベーションは2003年ハーバードビジネススクールプレスの出版から始まった。インターネット発達は情報の交換量を飛躍的に発展させ,世界のあらゆる場所どうしで,相互に連携して新しいものを作り上げていく世界を作っている。開発の速度は急速であり,自社だけの開発だけでは時代の発展に追いつけなくなっている。

 そこで,自社開発の知識をあえて流出し,相互に交流することにより他社の知識を利用しあう関係を構築していくビジネスモデルが登場した。オープンとは知識の相互交流によるイノベーションが加速していく様子を表現している。

オープンイノベーションのパラドクス
 奇をてらう訳ではないが,オープンイノベーションの世界では,自社の持つ知識の保護がきわめて重要だ。それは相互に知識を交流し,その中で新しい市場を開拓するという時,自社に交流できるだけの知識の存在が前提となるからだ。

 たとえば,データ入力,解析技術に優れた会社と大量データとAI技術を利用して,新商品を提供するビジネスの場合,統計処理という特殊技術とAIによるシステム開発技術とそれぞれに特性がなければ相互の連携はほとんど意味をなさない。

オープンイノベーションでは法務が大事
 この場合,法務の役割は,相互の守るべき知識の範囲,相互にオープンにするべき知識の範囲を明確にすること,市場を生み出す企業連携のあり方をルール化(これは利益獲得の範囲を明確化する作業でもある)することにある。

知識の保護
 知識の防衛は知財や秘密保持契約,競業避止義務などによって行われるであろう。刑法独占禁止法不正競争防止法なども使えるかもしれない。知識の防衛によって模倣者を防ぎ,市場への参入障壁を作り上げていくのである。

相互連携のルールの確立
 相互の連携は業務提携契約としてあらわれる。この場合,市場を生み出すための共通の理念が整理される。その上で相互の役割が確認され,相互に何をなすべきかが契約上確定されていく。オープンイノベーションの世界では企業連携契約はきわめて重要な位置づけを持つ。

プラットフォームモデルだってあるぞ
 以上は単なる企業連携を語ったにすぎないかもしれない。今日オープンイノベーションは様々な発展形態を持っている。たとえば,プラットフォームといわれるビジネスモデルが存在する。コアとなる企業を中心に,様々な連携が生まれ,企業群全体としてオープンな連携ができる。発展すればいわゆる「生態系」と呼ばれる相互関係の強い企業群が生み出される。このような領域ではルールは非常に重要だ。当然法務は無視できない。

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