№1996 税理士過誤、3億円請求事例
最近は企業の相続対策がさかんだ。税金をいかに安く片づけるかは大きな課題となる。
本件は相続税対策としてデッド・エクイティ・スワップ(DES)を提案したという事例だ。債務超過会社があって、オーナーは会社に多額のお金をつぎ込んでいた。そこで、この債権11億円のうち、9億9000万円分を現物出資して、株式を割り当てた。
ともかく、税理士はこの債務消滅益について説明しなかった。むしろ、この場合債務消滅益は発生せず課税されないと説明した。しかも、確定申告に際してはDESが無かったかのようにしてごまかして申告した。
判決では専門家である税理士には高度な注意義務が課せられるとされている。その結果、3億円を越える支払いが命ぜられた。
なお、DESについては、時価評価した場合、会社再生にきたす場合がある。つまり、会社が傾いた場合、オーナー、時には銀行などが支援措置をとり、資金を提供していることがほとんどである。この場合、会社の債務を軽くするために債権放棄をしてもらう必要があるが、このような場合に債務消滅益が評価されて多額な課税があると、それが大きな障害になる。