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№1984 卸売市場の契約関係

1984 卸売市場の契約関係

 弁護士はいろいろな事件を取り扱う。この点、継続的に特定の顧客に対応する税理士とは異なる。

 卸売市場の案件も扱うのだが、古い慣習による取引であるため、理解するのがかなり難しい。取引プロセス、用語も独特であるため、聞き取りをしても意味が分からないことが多い。鮮度が命であるため、早期取引を重視し、契約書などはないのが普通だ。また、役所などもからんでいるため、条例や規則等も問題になる。

 東京地裁平成28年6月27日判決(判時2333号)は青果物卸売り業者と仲卸業者らの組合との争いだ。

 東京都中央卸売市場では「戦後の統制経済から自由取引に復帰するに際し、」、仕入代金が卸売会社に完納されるかどうか問題となった。

 そこで、東京都青果物商業組合(中央卸売市場で買い出しをする青果小売り業者の大部分が参加している)が小売業者(組合員)の仕入れ代金を代払いするという制度ができあがった。東京地裁の事例はこの制度に基づいて、未払金を卸売り業者が請求した事件だ。このような制度がある以上、卸売業者が勝訴した。

 このような事件は戦後間もない頃の制度設計がどうであったかがまず解明されなければならない。日常的に当たり前に行われている取引だが、厳密にどうであるか、古い文献をもとに歴史的経緯を調べたり、役所に聞き取りに言ったりしなければならない。

 売買の仕組みも独特で、顧客からは何度も何度も聞き取りを行って取引の仕組みを理解することになる。本件でも「留め上げ分」という言葉が出てくる。これは判決によると「同一産地の同一品目を相当期間にわたって組合員に販売し、その代金を後日まとめて一括請求すること」と定義されている。簡単にまとめているが、この簡単にまとめあげるのに時間がかかる。

 本件の場合、卸業者、組合はそれぞれ長い時間独占状態にあって、深い人間関係ができあがっている。この人間関係に基づく取引というのは紛争が起こることを想定していない。そのため、いざ問題が起こると、実際にはどうなんだということがよく起こる。ここもよく整理しなければならない。

 ともかく、めんどうなことこの上ないのであるが、その分、知れば他の弁護士が参入できない領域となって競争上優位に立つということになるでしょうね。

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