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№1969 ユニークな形状の保護

№1969 ユニークな形状の保護

 商品開発に当たって特別な機能を保護しようとすれば特許ということになる。
 特別な形の保護というと、意匠、登録商標著作権などがある。

意匠権は工業製品のデザインを保護する。
 物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるものを保護の対象としている(意匠法2条)。

 「物」のデザインなので物体で無いもの、たとえばパソコンのアイコンなどは保護の対象とならないし、靴紐の結び方なども保護の対象とならない。外観の創造性が保護されるため、内部の仕組みは保護の対象にならない。

登録商標は誰の製品かを示すために使われる
 登録商標は商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)を言う。商標を見ることによって、誰の製品か出所を識別したり、品質を保証したり、広告宣伝効果をもたらす。

 登録商標とされた場合、他人が同一、類似の商標の使用は禁止されている。但し、この場合「使用」でなければならない。出所を識別ための「使用」が禁止されている。

 たとえば「CHANEL №5」という表示があったとしても「CHANEL №5」と同一の香りのする香水、という意味で使用していれば商標権の侵害にならない。同一の香りと宣伝しているが、「CHANEL №5」とは言っていないからだ(東京高判S56.2.25)。

 「巨峰」という商標があるものの、葡萄の段ボールに「巨峰」と表示することは表示は箱内の製品が巨峰であることを示したに過ぎず、容器包装の出所しを識別するものではないとした事例がある(福岡地裁飯塚支部S46.9.17)。

不正競争防止法2条も類似品の使用を禁止している
 これは商品のユニークな形状が特定の会社を示すものであるような場合、それをまねて事業を展開することは、顧客に誤認混同させるため禁止される場合がある。①他にない顕著な特徴を持っており(特別顕著性)、②その特徴が長期独占的に使用されて顧客がそれを見ると特定の事業者を連想させる程度になっていないとだめだ(周知性)。

 形がユニークでも、特定の機能を追及するとどうしてもその形になってしまうようなものは保護の対象にならない。これは機能的形態などと呼ばれている。
 たとえば、子供のお箸の訓練用に上端部がくっついており、人差指と中指を入れるリングのついた橋はユニークな形をしているが、子供の訓練用に技術形態を追及するとその形になってしまうので保護の対象にならない(知財高裁H28.7.28判時2320号113頁)

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