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№1908 類似名の商品、事業は違法となるかもしれません

№1908 類似名の商品、事業は違法となるかもしれません

 商品名は商標法による商標権という権利で保護されている。こうした知的財産で保護されていなくとも、類似した商品名を利用した場合は不正競争防止法違反となる場合がありうる。中小企業法務を取り扱う弁護士としては知っておきたい法律だ。

 東京地裁の最近の事例でバッテリーテスター「DHC-DS」という商品名をつけた商品について、「DHC」が商標違反、不正競争防止法違反で訴えたところ、「DHC」側が敗訴したという判決が出た(東京地裁H27 .11.13判時2313号100頁)。

1. 商標権
 「DHC-DS」のDHCは台湾DHCで、この台湾の会社は30年前から台湾及び諸外国で商標権を持っていた。日本の「DHC」は化粧品や健康食品などを販売する会社であるから商品の内容が全く違う。もちろん、バッテリー系の商品を扱ったことは無い。「DHC-DS」と商標権を争うためにわざわざ「DHC」の登録商標にバッテリーテスターを入れたというのだから、何のために争っているかよくわからない。

 というので、「DHC」商標権侵害は権利の濫用であるということで退けられている。最高裁も一定の場合に商標権の権利の濫用を認めている(H2.7.20判時1356号132頁POPEYE商標事件)。

 重要な点は他の商品や事業と誤認混同のおそれがあるがあるような場合違法となり得る。
 不正競争防止法上「他人の商品等表示・・・として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用」するなどして「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」は不正行為とされている(2条1項1号)。

 また、他人の商品や事業の知名度にただ乗りして自社を売り出す行為も許されない。
 これは、特定の名称と商品との1対1関係を崩してしまうような行為を禁じている。ただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(歩リュータント)といった言葉で表現される(2条1項2号)。黒烏龍茶事件(東京地裁H20.12.26判時2032号11頁)。

 本件ではそもそも健康食品とバッテリーテスターとでは違いが大きすぎる。「DHC」はむやみに攻撃的に出て失敗したということになる。

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