名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1893 企業の売買契約特有の条項

№1893 企業の売買契約特有の条項

 企業の売買は株式の売買という点では普通の売買契約と異ならない。しかし、一般的には巨額であることや、企業内部の様子は分からないことが多いため、普通の売買よりも遙かにリスクが高い。そのため、M&A契約独特の内容がある。

 東京弁護士会機関誌にこのことが要領良くまとめられている。
1. 価格決定条項
  一般的には株式の売価は確定した上で売却される。しかし、中には売買契約時に一定額支払い、その後の実績を基準に支払金額を決める方法もある。また、会社オーナーは株式売却代金を退職金という形で受け取ることもある。退職金の分だけ株価は下がるので退職金であろうと、売買代金であろうと変わらないと考えるのである。

2. クロージング条項
  売買契約成立後、デューデリジェンスという買主による調査手続きに入る。契約前は会社の内情を調査する法的根拠がないが、契約が締結され買うことが確実になった時点では調査を許すことになる。クロージング条項とはこの調査が終了し、実際に株式、株代金が移転する時期を言う。

3. 表明保証条項
  会社の場合、帳簿による調査が中心となる。しかし、会社資産が帳簿と実態と異なることや、簿外の債務が出てきたりする。こうした、会社の価格を決める上で重要な役割を果たす資料、項目について真実であることを保証するというのが表明保証だ。

4. 前提条件
  前提条件とは契約締結の前提となるべき条件である。この条件が無ければ契約しないということになる。前提条件についてはクロージングまでに前提条件を満たす必要がある。たとえば、クロージングまでの間に従業員が残っていることや、財政状態を悪化させる事情が残っていないことなどが前提条件となる。

5. 補償条項
  補償条項は表明保証された内容が真実で無かったような場合に賠償責任を負う旨定めるものである。たとえば、簿外債務が出てきたような場合などは典型的な場合である。

7 解除条項
  どのような場合に解除できるかを定めた条項である。表明保証したり前提条件になっているような事項について、違反がある場合、それが当事者にとって重要な内容であれば解除条項に定めて、契約が解除できるようにしておく。

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら
                 → http://www.green-justice.com/business/index.html 
イメージ 1