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№1861 持続社会でのマーケッティング

№1861 持続社会でのマーケッティング

 環境問題でもっとも重要な言葉は「持続的発展(sustainable development)」だ。社会の持続性、サスティナビリティーが重視される社会が確実にやってくる。そんな時代のマーケッティングはどのようなものだろうか。

 産業革命以降人類は生産と消費の拡大に走ってきた。資源は無限にあり、作れば何でも豊かになる。人類は限りなく消費の利益を享受できる、と考えてきた。

 限りなく消費する経済構造は有限な資源を人類全体で平等に分かち合おうという発想は本来持ち合わせていなかった。まして、未来世代のことなど考えてもいなかった。

 しかし、今は資源が有限であることに気付きつつある。有限な資源、特に環境的な利益は公共財として人類及び未来世代に平等、公平に享受されるべきだという考えが徐々に成熟しつつある。

 つまり、持続的に利用しなければやがて資源は枯渇し、人類に大きな危機がくる。資源を賢く持続的に利用する社会の方が、結局、多くの資源を獲得できると考えるようになっている。

 この「賢く利用する」社会こそが持続社会の特徴だ。
 この「賢く利用する」とは地球上の資源が適切にマネジメントされることを意味する。マネジメントの評価の基準は地球の誰もが環境上の危険から自由であると感じられるかとういものだ。

 この「賢く利用する」の意味は単純な節約ではない。賢く利用することにより、より豊かな生活を約束するという内容を持っている。豊かさの基準も変わる。

 そこでは自然や文化は未来世代への贈り物であると考える。だから、自然や文化を楽しむライフスタイルが重視される。

 消費が全てではない。だから、物を大切に使うということの方が豊かであるという文化が重視される。そこでは物に心が込められていく。

 たくさんの物を所有することが豊かではない。お互いに融通し合って、利用したいときに利用したいものが手に入る方が豊かだと考える。

 地球を科学的に管理することの重要だと考える。だから、地球温暖化に対する科学者たちの警告を受け入れる。自分のエアコンが地球のどこかで異常気象を招くかもしれないと考えるようになり、人類全体及び未来世代に対する愛情と絆を感じる文化がそだつ。
 
 このように考えると、ビジネスのスタイルも当然違ってくる。
 消費者には限りない消費をアピールすることは下品で、思慮が浅いと感じられるようになるだろう。ゴージャスな毛皮は今では金銭欲を代理するかのように見られる文化が育ちつつあるようなものだ。

 むしろ、インターネットを駆使し、いつでも他人の自動車を利用できるシステムの方が喜ばれる。派手な温泉ツアーより精錬された田舎の風景の方が性に合ってると考える人が増えるだろう。

 未来世代を大切にする文化は同時に高齢者を大切にする文化でもある。
 地域を守り続けることに人々が価値を見いだせば、それにふさわしいビジネスに対価を払うだろう。たとえば、地域と都市を結ぶ交通システムや通信システムに変革がもたらされるかもしれない。

 つまり、持続社会には持続社会なりのビジネスが生まれる要素があり、経済の持続的な発展も約束する。単なる節約で消費に水をかけるなどと思ってはいけない。

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