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№1805 「まちの景観」は「まちの心」

№1805 「まちの景観」は「まちの心」

 昨日、名古屋市緑区有松町、「有松まちづくりの会」の方々と交流した。有松は江戸時代から続く町並みが保存された美しい街路ができあがっている。これは住民のみなさんの長い長い努力の結果、ここまで整備され伝統的建造物保存地区に指定された。

 伝統的建造物保存地区というのは昭和50年の文化財保護法の改正によって始まった制度だ。これにより、全国各地の城下町,宿場町,門前町など歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになっている。

 有松はもっと早い段階で伝建地区に指定されて良かった。しかし、街区の真ん中に道路建設の計画があったため市役所がなかなか了解しなかったそうだ。平成9年から運動が展開され、実に20年を経て悲願が達成された。

 景観というのは一般的には見た目だけのことのように思われているが、もっと奥が深い。そこに住み、商売をし、世代を超えて長い年月生活する中でまちが形成され、その結果として美しい景観ができあがる。景観は人々の生活・文化の全体を示す。

 ヨーロッパなどは「石」で建物ができあがり、200年、300年とかけて都市が形成されている。都市の美しさはその都市の住民の文化的な到達点を示している。まちに自分たちのアイデンティティを感じ、自分の人生で大切なもの感じているからだ。彼らにとって都市は芸術の一つだ。

 このまちなみ保存の問題は常に私的所有権と矛盾する。日本では土地所有権はかなり絶対視されていて、調和を乱す建築物が現れる。しかし、土地は公共性があり、原則として制限されると考えるべきだ。つまり、まちの調和に対する配慮が必要だ。

 法律的には配慮とはまちなみ保存に住民が参加するという意味になるが、日本の都市法政には住民参加の手続きが非常に乏しい。弁護士としてはこの辺に役割があるかもしれない。

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