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№1802 リスク=利益

№1802 リスク=利益

 リスクとは不確実性であり、利益ととらえることもできる。弁護士はこの利益を言葉によって表現し、契約書という形で固定する。

 リスクは「危険」と翻訳されている。オックスフォード英英辞典にはこんな風に書いてある。
  " the possibility of something bad happening at some time in the future "
 何か悪い出来事が将来起こるかもしれないという可能性
 
 つまり、「可能性」ということになる。ビジネスの世界ではリスクは一般的には可能性を指すし、さらには「不確実性」という言葉に置き換えて使われたりする。将来起こるかもしれないし、起きないかもしれない。起きたら大変だという意味だ。

 ところで、投資の場合、リスクはどうみるのだろう。
 投資の場合、投資したけれども期待された効果が得られなかった場合がリスクが現実化したとみる。投資の動機には当然「期待された効果」の存在がある。

 これをもう一つ逆の側面から見てた場合どうだろうか。
 「期待された効果」が発生した場合は、持っていた可能性の一方が実現したとみることになる。つまり、可能性=不確実性というのは良い方にも悪い方にも同時に存在している。良い方に見立ててれば、不確実性は「利益」の一つとも見ることができる。

 「リスクをとってチャンスに賭ける。」という言葉には、実は「リスク」「不確実性」の中にすでに利益が含まれていることを意味する。この場合、リスク=利益とみた場合、投資の範囲は、リスクが含んでいる利益の範囲で行うということになる。

 リスク=不確実性=利益の内包=投資 これを考えることで確実に投資できる範囲、投資からさらに先に投資を行う行動が見えてくる。つまり、利益を抜き取ってまず固定し、さらに利益を追求して投資するという「尺取り虫」のような確実性を確保することになる。

 この場合の作業は「固定できる利益」とは何かを探す作業を必要となる。
 たとえば、新規投資幅を小さくし、この範囲は確実に利益として残る、それ以上は不確実だとする。小さな工場を作り、まず経験を獲得し、これで十分もとがとれたと判断する。その上で、つぎの投資を展望する。

 この「固定できる利益」の考えを作り上げるのが実際の投資では難しいし、経営者の正確な情勢判断が必要となる。契約というのは時にはこの利益の範囲を固定する。つまり、リスクに内包している利益を可能な限り適切に選び出し、言葉によって固定し相手を拘束する。たとえば、合弁契約で「技術協力」を行う場合、どんな利益を得るか、技術だけ盗まれないかなど考え、契約によって利益を固定する。

 未来への投資はけっして「えいやっ」というアバウトなものではなく、「固定できる利益」の範囲を明確にした上で、「えいやっ」が必要だ。固定できる範囲の判断はある意味科学的だし、確実性が求められるのではないだろうか。

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