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№1799 「技術を守る」条項

№1799 「技術を守る」条項

 生産を委託する場合に、外注先の水準を維持するために技術指導をしなければならない場合がある。特に海外に発注する場合に「技術指導」は避けられない。低コストな分だけ低品質なってしまうからだ。

 業務提携にあたって、「技術指導」が入る場合、いろいろ気を遣うことが出てくる。技術指導に伴う費用、指導員の派遣、日当相当額、通訳費用などは相手方に負担させることが多い。

 問題は「技術」を奪い取られてしまう危険をどのように回避するかだ。ノウハウが相手に蓄積されることでライバルを育て上げてしまう危険がある。知的財産があればやりやすいが、中小企業の場合、ライセンスがあるとは限らない。

 この場合、指導の範囲をどうするかが問題となる。指導の範囲は生産委託の範囲とイコールなどで、「技術保全」 vs. 「委託のメリット」の悩ましい利益衡量を行うことになる。

 一般的にはこんなことを考えるのではないだろうか。
 ① 委託する製品を単純なものに限定する。
 ② 部分加工を委託する。
    つまり、重要部分は自社で行い、単純部分を委託する。
 ③ 設計は自社で行う。

 さらには、原材料、機械、治具、部品にノウハウがある場合がある。
 ④ 原材料、機械、治具、部品の購入を自社に限定する。
 
 指導員を引き抜かれてノウハウが奪い取られることがある。
 ⑤ この場合は自社社員を直接雇用しないという取り決めも必要かもしれない。

 こちらの力関係が強ければ、
 ⑥ 競業行為の禁止をすることできるかもしれない。

  以上の①~⑥のようなことを考えながら、私たちは「技術を守る」条項を組み立てていくことになる。特に相手が海外の企業ということになると非常にデリケートな問題となる。また、過度な制約は独占禁止法不正競争防止法にかかわる問題も出てくるのでこの点も注意を要する。


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