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№1790 我、人に任せる

№1790 我、人に任せる

 孔子は子賤という弟子を君子だと言っていたそうだ。子賤にはいろいろ逸話があるようだが、こんな話がある。

 子賤が単父(たんぽ)という地域を治めていたときに、琴を鳴らして堂を下らなかったが、単父はよく治まっていた。巫馬期という人物もここを治めていたことがあったが、星をいただいて出て、星をいただいて帰るという、一生懸命働き、それはそれでよく治まっていた。

 巫馬期はその違いがなんだろうと思って尋ねたところ、子賤はこんなふうに答えたという。

     「我任人、子任力。任人者佚、任力者労」

 「我人に任し、子力に任す。人に任す者佚(いつ)、力に任す者労」つまり、自分は人に任せているが、あなたは自分の力で行っている。人に任す者は佚(解放されて楽な状態)であり、力に任す者は労が多い。

 つまり、徳をもって治めるというのはこういうことだというのである。トップリーダーの役目は自分が動いて苦労するというのではなく、人を感化して動かしていくというところにある。

 このように人徳が高ければ高いほど組織は機能する。この徳というのは、権力機構と結びついた考え方だ。これは人の良さだけの問題ではない。

 世の中には重大な勘違いをしている場合もある。組織がある程度しっかりしていると、自分は何もしなくても組織は動いてく。それはトップの人徳のおかげではなく、部下の人徳のおかげだ。こういう場合は組織は衰退するし、なまじ才能のないトップがあれこれいって組織がつぶれていくことがある。

 いろいろ、企業を見てきましたが、この違いはかなり大きい。結局、組織の頂点に立っているものが人格を高める姿勢を持ち続けているかどうか、あるいは逆に組織を食い物にしているかでその違いが分かる。

子賤治単父、弾鳴琴、身不下堂、而単父治。巫馬期以星入出、以星入、日夜不處、以親之、而単父亦治。巫馬期問於子賤曰「我任人、子任力。任人者佚、任力者労」。

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