№1786 組織全体が機能するということ
ポーターは効率化の追及と戦略とは違うという。効率化は効率がよくなるだけで新しいものは生まれない。
戦略にはつねに択一的な選択がつきもので、何かを捨てる決意がなければ次は生まれないという。つまり、差別化を徹底して競争に処理するためには何かを捨てて何かに特化しなければならないということになる。この選択の勇気が必要だ。
この「何かを行い」、代償として「何かをしない」という選択は総合的なものだという。コアコンピタンス(Core Competence)、つまり競合他社にまねできない能力とは一つの目的に向かって組織全体が統合されている状態があって威力を発揮する。核心部分、特色部分だけに注目しても競争力は生まれない。
組織が活動する上で必要な諸要素のすべてが目的に向かって統合されなければならない。たとえば、格安航空会社はすべてのサービスを省き、座席指定もない。離発着を短縮化するために手荷物の引渡をしない、路線を限定して同種の機種で運航することによりメンテナンスの効率を上げるなどすべてが格安航空に向かって整備された。
つまり、総合的というのは「格安航空運賃」という「行動」に向かって組織が整備され、組織活動のすべての活動が適応していく状態があって初めて戦略的な対応できたというのである。戦略というのは行動と結びついて初めて意味を持つ、行動は組織が整備されて初めて生じる。
ドラッカーはマネジメントの意味を追及したが、同様にポーターもマネジメントの意味を具体的に明らかにしている。ドラッカーは組織は戦略に従うという考えを大切にしたがポーターも同じく、戦略実現のために組織的なあり方を重視した。
こうした目的→組織→行動→顧客の創造の諸関係をポーターはフィットという言葉で表現する。ポーターはフィットの種類を次ぎように分類する。
① 組織の各活動の基本的一貫性(経営理念に支えられた一貫性)
② 組織の各活動が相互に強め合う関係
③ 組織の各活動の取組の最適化
この③の最適化こそ、社長の役割となる。
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