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№1756 M&Aにおける表明保証のこわさ

№1756 M&Aにおける表明保証のこわさ



 M&Aなどで会社を売却する場合、表明保証条項が存在する。たとえば、許認可など行政上の問題点がないこと、不動産に瑕疵がないことなどいろいろ正確に説明した上で、その説明に間違いないことを保証するものだ。

 会社売買の場合、買主側からは会社の実情を見ることができないため、表明保証があるということによって、正確な情報を提供させようという趣旨である。

 「甲は、乙の表明保証の違反が発生又は判明した場合、これに起因して乙に発生した損害(第三者からの請求の結果生じたものか否かを問わない。また、合理的な弁護士費用を含み、これに限定されない。)」

 この表明保証はけっこう怖い条項だ。
 たとえば、4億円で会社を売却した場合、なにか行政上の欠陥があることによって工場を修補するの5000万円ぐらいかけてしまうようなことがあると、会社の売主がその金額について賠償責任を負うことがある。

 東京地裁の例だが、半導体事業の会社購入後、消防当局の指摘により危険物の管理に問題があることになり、買主はそれに従うために3億5000万円ほど支出した。この金額を表明保証責任を理由に損害賠償請求した事件がある。裁判所は法的不備によって支出されなかった金額は1億5000万円ほどだというのでその支払いを命じた(H27.6.22.判時2275号69頁)。

 売買価格は76億円ほどなのだが、賠償金額の1億5000万円というのは小さな数字ではない。

 判例時報によると表明保証責任に関する判例は増えているようで、
 大阪地裁H23.7.25 金判1375号34頁
 東京地裁H24.1.27 判時2156号71頁
 東京地裁H25.1.28 判時2193号38頁

 がある。


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