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№1755 近者説、遠者来

№1755 近者説、遠者来

 孔子が諸国を遍歴している時、「陳蔡之厄」に遭遇した。これは当時強国であった楚に孔子が向かうのを阻止するために呉の兵が孔子一団を取り囲み孔子らが困窮した危機のことを言う。この時、孔子は有名な「君子もとより窮す。小人ここにみだる」という有名な言葉を発した。

 孔子一団がこの難を逃れ、葉(しょう)県負函にたどり着いた。葉県を治めていた葉公の庇護された。葉公は孔子に政の要諦を尋ねたところ、孔子は「近者説、遠者来」と述べたという。「近き者よろこべば、遠き者来る」と書き下すそうだが、意味が深い。

 葉公はこの一言を聞いて、感激したそうだ。
 中国はもちろん日本でも「徳」という言葉があるが、自らの支配する範囲を徳によって治めれば、徳によって自ずから人は集まる。人が集まるとは人や物が集まり富み栄えるだけでなく、人徳を備えた優れた人材も集まってくることも含んでいる。

 中国の古典に見られる「徳」とはまたわかりにくいことばだ。人間としての格調の高さを意味しているように思うが、時には強い武力を意味していることもある。暴政を行い徳を失った君主に対して、有徳の英雄がこれを滅ぼすというストーリーは限りなくある。権力を持った強い統制力も「徳」の一つのように思う。

 孔子の言葉に意味の深さの誰もが感じるだろう。
 驚くのは、これを6文字で表現していることだ。これは漢字という言語の持つ奥深さでもある。

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