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№1742 情報管理と刑事罰

№1742 情報管理と刑事罰

 情報の流出によって顧客を奪われたり、多額の賠償問題が発生したり、従業員の不正行為の温床が生じたりする。企業の命運を分けることもある。

 情報はかくも重要なのだが複製が容易であるため、流出防止を完全にすることは難しい。最後は社員の倫理がものを言う。法的措置は倫理を補強するという位置づけになるだろう。

 情報は特許や商標など知的財産の保護があるほか、営業秘密として法的に管理する手法も確立している。ここでは刑事上どんな責任があるか整理しておきたい。

【刑法】
 コンピュータやUSBメモリーなど情報媒体を盗めば窃盗罪となる。管理したものを着服すると横領になる。媒体がないような場合、たとえば情報をコピーするだけの場合には財産犯の成立は難しいのが一般だ。しかし、財務管理にかかわる者が情報を不正利用して自分や第三者に対して損害与えれば背任罪となる例がある(東京地裁S60.3.6判時1147号162頁)。
 手紙を開封すれば信書開披罪となるし、盗聴などすると電気通信事業法や有線電気通信法などで処罰される。

 これは営業秘密を保護している。詐欺や恐喝などによって取得する行為や管理者から示されたものを権限なく不正利用する行為、管理者自らが流出させるような場合を不正に取得したとしている。この場合は10年以下の懲役もうしくは1000万円以下の罰金である(21条)

不正アクセス防止法】
 IDやパスワードを盗み取って、なりすましてコンピュータにアクセするような場合、アクセスだけで処罰される。情報を盗み取れば不正競争防止法違反となるが、実際、情報を取得したかどうかわからないことが多い。そこで、アクセスするだけで処罰できる制度を作った。

 うその証明をした場合には3年以下の懲役または200万円以下の罰金で処罰される。

ハッカーやウィルスなど】
 こうした情報に関わる刑事犯についてはこのほか、インターネット関係についての取り締まりがある。電子計算機使用詐欺罪とか、電子計算機損壊等業務妨害罪とか、いろいろある。

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