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№1737 未来は選ぶものです

№1737 未来は選ぶものです

 経営者は今を決めるために未来を考える。不確実性というリスクを背負うのが経営者の使命だ。とは言っても不確実性は常に科学されなければならない。科学とは事実に基づき、判断していく過程だ。

 マイケル・ポーターは「未来について不確実性があるときどのように判断したらよいか」という問題提起をする。その答えの一つとして業界シナリオ(industry scenarios)というものを提案する。これは業界の未来のあるべき姿をいくつか選択して、どんな要素がシナリオの実現可能性を左右しているか検討するというものである。

 業界の未来像が見えてくると、自分の立ち位置も判断できる。つまり、業界の未来像を変化させる要因をいくつか取り上げ、その変化をたえず注意することになる。たとえば、医療業界や派遣業界などは政府の政策によって大きく変化する。政府の政策が変動要因であり、どう変化するかわからない部分が不確定部分だ。

 マイケル・ポーターは不確定部分についての分類や分析方法を詳しく提供しているが、注目すべきは選択したいくつかのシナリオを考慮して戦略を選択するのであるが、その際、不確実性をいかに減らすかという点で2つの方向があるという。

 一つ
 不確定要素を避ける選択をする。

 もう一つ
 影響力の行使によって、積極的に不確定要素を確定的なものにする。

 当たり前のように見えるが、この二つのバランス感覚は経営者としての能力の発揮しどころだと思う。
 この回避と挑戦の作業により企業が進むべき未来像が徐々に固まっていく。一方でリスクを避け、一方でリスクをとって勝負に出る。必要なら進み、必要なら撤退する。これも、実践の過程で得られる事実に関する情報によって整理されていく。

 こうして「不確実性に対処する最良の方法は、惰性や無意識ではなく、意識してアプローチを選ぶことである」。という発想になる。意識してアプローチを選ぶとは、事実に基づき、不確実性を減らす作業だ。

 つまり、経営者にとって未来とは選択した結果であって、自然とやってくるものではない。

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