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№1703 会長の老害

№1703 会長の老害

 ここ最近、会長の「老害」関係の相談が増えているように思う。大塚家具事件のようなものですかね。

 一時、事業承継が大きな問題だったが、それはそれで今でも大きな問題だ。しかし、事業承継がうまくいかず、会長の「老害」がいよいよどういにもならないところまで来ているという事例が増えているように思う。80代に突入する会長が依然実権を握って旧態を改められない会社も少なくない。

 まず突き当たるのが、会計の問題だ。
 老害が発生する会社の多くが手作業で会計を処理している。会計担当の事務員も高齢化し、コンピュータが使えない。かなりの売り上げのある会社であるにもかかわらず、なんと預金通帳で経営状態を判断するという驚くべき会社がある。個人商店のころの「感」が通用すると思っている。

 こうした会社は結局のところまともな財政状況が把握できていないので、毎月の借金支払い、毎月の手形の引き落としができれば経営ができていると勘違いしている。借金はいつのまにか常態化しており、売り上げに近い借金を抱え込んでいることがほとんどだ。つまり、銀行の借金のおかげで毎月の支払いがしのげている点で、経営がうまくいっていると勘違いしている。

 後継者はたまったものではない。親に言われて連帯保証人になっていたりしているが、会計状態は明らかにされていない。会計がいきづまってふたを開けてみれば借金がどうにもならないところまで来ている。

 老害の悪いところは、営業にも及ぶ。長い人間関係で顧客との信頼関係ができあがっている。一定の大手の関係もできあがっている。しかし、それに依存しきって新しい事業分野の開拓をさせないことある。

 大手の取引先は近代化がきちんとしており、常に利益を追求する合理的な体制ができあがっていることが多い。古い信頼関係だけで動くと言う思っているのは大間違いだ。大手に依存している中小企業は常に別の分野の取引先の開拓を進め、リスクヘッジ、つまり、大手の心変わりに備えなければならない。「老人」にはこれが分からない。

 新分野開拓にはそれなりに投資がいるのだが、この投資をさせないのだ。若い後継者に冒険をさせない。時代はめまぐるしく変わる。自分はそれにあわせて会社を大きくしてきただろうが、残念ながらそのことを忘れて、いまの安定した関係が大切になってしまう。

 このほかにも会社の私物化の「老害」の一つだ。何でも経費で落ちると勘違いしている老人経営者がいる。自分が会社を食い物にしているということが悪いことだ、会社をつぶすことになることに気づかないという「老害」もある。

 こうした「老害」対策は千差万別で簡単ではないし、会社の株を握られているとかなり是正が難しいこともある。一挙解決、クーデターを起こすか、少しずつ変えていくか、税理士さんや弁護士と相談しつつ方針を決めていくことになる。

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